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2013年12月26日木曜日

相続税改正の影響試算と今後の対応

1.はじめに

平成27年1月1日以後の相続から、基礎控除が3,000万円(定額控除)、600万円(比例控除)にそれぞれ引き下げられます(以下の図表参照)。また、相続税率も最高税率がアップするなど、相続税の税負担は増加すると考えられます。

そこで今回は、相続税の改正による影響を簡単なケースで分析し、今後の注意点を検討してみました。








2.二次相続を考慮した税負担の試算の必要性

 
相続には一次相続二次相続があります。

一次相続とは、例えば、(財産を持つ)夫が亡くなり、妻(又は子)が夫の財産を相続するケースを意味します。一次相続の場合、仮に夫にかなりの財産があっても、実は、「配偶者控除」を使うことによって税負担はかなり軽減されます。

ところが、夫の財産を相続した妻から子への相続である二次相続の場合、配偶者控除が使えませんので、税負担は高くなります。一次相続と二次相続を経て、親の代の財産が子の代へと受け継がれることになりますから、相続税負担の試算では、一次相続と二次相続の双方を考慮する必要があるわけです。


3.ケースによる税負担の試算

遺産総額が1億円(債務控除後の純額)の場合で、妻と2人の子供を相続人とする相続を考えます。現行制度と税制改正後の税負担は以下のとおりとなります。




まず、相続税の総額で見ると、295万円(395万円-100万円)増加しています。従来ほとんど相続税が係らない層にも、今後は比較的多額の相続税が課される可能性があるという傾向が読み取れます。

次に二次相続を検討します。二次相続では、夫から受け継いだ妻の財産(5,000万円)を2人の子供が相続することになります(単純化のため、妻固有の財産は考慮していません。)

現行税制では、基礎控除が7,000万円(5,000万円+1,000万円×2人)ありますので、妻の財産(5,000万円)は基礎控除の範囲内です。したがって、二次相続では相続税負担は生じません。言い換えれば、相続税という観点からは、基本的に一次相続のみを考慮すれば足りると考えられます。

ところが、改正後の基礎控除は4,200万円(3,000万円+600万円×2人)となりますから、妻の財産(5,000万円)は基礎控除を超えています。すなわち、二次相続(妻から子への相続)にも相続税が課されることになるのです。

さらに、財産が2億円になると、二次相続の負担が増えていくことが分かります。




さらに、相続財産が8億円の場合、二次相続の負担が一層高まることが読み取れます。



4.相続税改正から読み取れること、今後の対応

上記の簡単なケースから、相続税の改正に関して次の2つのことが読み取れます。

(1)二次相続の重要性

まず、二次相続の重要性です。もちろん、現行税制においても二次相続を考慮する必要性は高く、特に、財産総額が数億円を超えてくると、二次相続の負担を踏まえて相続税の試算や対策を行う必要があります。この点、税制改正による基礎控除の引下げと税率引上げによって、税率が比較的低い層の方々にとっても、二次相続の重要性は高まると言えるでしょう。


(2)負担感は、むしろ税率の低い層のほうが高い

次に、今まで相続税をあまり心配する必要のなかった方々(相続税がかからなかった、あるいは、多額の相続税がかからなかった方々)の実質的な負担の増加です。例えば、上記の8億円のケースでは、確かに税制改正による負担は上昇していますし、相続税総額も多額となっていますが、実質的な負担増(表最下段の「実質的な税率」の差)は、2.7%(30.1%-27.4%)となっています。

一方、実質的な負担増は1億円の場合3.0%(4.0%-1.0%)、2億円の場合は4.1%(10.6%-6.5%)となり、8億円の財産を持つ方よりもむしろ大きくなっています。1億円、2億といった相続財産を保有される方々のほうが、負担感はむしろ高くなるという見方もできるかもしれません。


5.おわりに

相続や事業承継において、相続税(対策)を過度に重視すると、近視眼的思考に陥り、本質を見失う可能性があります。まずは二次相続を含めた相続税の試算等や現状分析については、早めに準備しておく必要性は高いと考えられます。



清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年9月30日月曜日

土地の値段 一物四価

先日(9月19日)、平成25年都道府県地価調査に基づく『基準地価格』が公表されましたので、今回は土地関係の話題です。


1.分かりにくい土地の価格

土地の価格というのは、なかなか分かり難いものです。世の中に「同じような土地」はあっても、「まったく同じ土地」はありません。土地は極めて強い個別性を持っています。

土地は売買されますが、上場株式のような確立した市場はなく、売買できる土地の量もかなり限られています。また、買主や売主の持つ事情、保有している情報の質・量によって、現実の取引価格も大きく変わってきます。

一方、土地を買うと不動産取得税や登録免許税(登記に必要な税金)かかりますし、保有している土地には固定資産税や都市計画税がかかります。また、土地を売れば売却益に税金がかかります。さらに、土地を相続又は贈与すると相続税や贈与税がかかります。これらの税金の元になる土地価格は同じものではありません。様々な土地の価格に基づいて、各種の税金が計算されます。


2.土地の価格(一物四価)

土地の価格と一口に言っても、その意味するところはマチマチです。ここでは、以下の5つの土地価格の意味を見ていきます。なお、(2)の公示価格と(3)の基準地価は、時点が多少違いますが基本的に同じ意味合いを持つ土地価格ですので、両方を1つと考え、実勢価格、公示価格(基準地価)、路線価、固定資産税評価額で、『一物四価』と考えられます。

 (1) 実勢価格
 (2) 公示価格
 (3) 基準地価 
 (4) 路線価(相続税路線価)
 (5) 固定資産税評価額(固定資産税路線価)


3.土地価格の種類

 (1)実勢価格

現実に土地が取引される価格を実勢価格といいます。

実勢価格は、現実に売買当事者間で成立した価格ですが、売主や買主の特殊事情(早く売りたい、とか、多少高くても買いたいといった事情)が入っていることも多いので、かなりバラツキがあるのが通常です。

なお、地域の不動産取引を数多く扱っている地元の不動産業者の方は、実勢価格に基づいてその地域の「相場観」を持っていますので、その地域で現実に土地売買を検討する際には参考になるでしょう。


(2)公示価格

公示価格とは、法律(地価公示法)に基づき、国土交通省が公表する土地の価格を意味します。

具体的には、一定の標準となる土地(平成25年の地価公示では、全国で26,000地点)を選んで、その年の1月1日現在の価格を算定し、毎年3月下旬頃公表します。また、公示価格は、上記の実勢価格から様々な特殊事情を除外した価格を意味し、1㎡当たり更地価格として公表されます。

公示価格は、①一般の土地取引の指標、②公共事業用地の取得、③相続評価や固定資産税評価などの目安として利用されます。


(3)基準地価格

基準地価格とは、都道府県知事が政令(国土利用計画法施行令)に基づいて公表する土地の価格です。

公示価格同様、基準となる土地(平成25年の基準地価では全国約22,000地点)を選んで、その年の7月1日現在の価格を算定し、毎年9月下旬頃公表しています。価格の意味合いは公示価格とほぼ同じですが、価格の判定日が公示価格とちょうど半年違っていることから、公示価格を補完するものとも言えます。

基準地価格の地点は、上記の公示価格の地点と重複しているものも多くなっていますが、公示地価が「都市計画区域」の中にある土地を対象としているのに対して、基準地価格は、都市計画区域外の土地も含んでいます。


(4)路線価(相続税路線価)

路線価は相続税や贈与税の課税を目的として、国税庁が定めている価格です。路線価は、毎年1月1日を評価時点として、公示価格(基準地価)、売買実例、精通者の意見等に基づいて算定されます。路線価図を見ると道路に値段が付いていますが、路線価とは、その道路に面した土地の1㎡当たりの評価額を意味します。路線価は公示価格の80%を目安に定められています。

 
相続税の財産評価は基本的に時価となっていますので、土地も時価で評価して申告するのが原則です。しかし、土地を時価評価することは、土地の個別性があるため、なかなか困難です。しかも、土地の個別事情を考慮した評価額が妥当かどうかについて、税務署側が判断するのも相当な労力が必要です。そこで、ある程度画一的に評価できるように、国税庁が土地の価格を定めたのが「路線価」です。

なお、平成25年分の路線価(評価時点平成25年1月1日)は、平成25年(平成25年1月1日~平成25年12月31日))に発生した相続や贈与について適用されます。したがって、例えば、1月の相続や贈与の場合、まだその年の路線価が公表されていませんので、土地の評価が必要な場合には、(7月に公表される)路線価を待って評価・申告を行うことになります。


(5)固定資産税評価額(≒固定資産税路線価)

固定資産税や都市計画税といった土地の保有に関する税金や不動産取得税登録免許税(登記の印紙代)を計算する基礎となる価格です。さらに、上述の(相続税)路線価がない土地の相続税や贈与税における土地評価を行う際の基準としても用いられます。

固定資産税評価額は、課税主体である各市区町村が決定します。土地については、3年毎に1月1日現在の価格して決定されています。固定資産税路線価は公示価格の70%を目安として決定されています。

固定資産税評価額は、基準となる路線価(固定資産税路線価)に市区町村が各種の調整を加え、評価額を決定しています。一方、相続税や贈与税の土地評価額(相続税評価額)は、路線価を利用して納税者側が土地の個別性を加味して算定します。

以上をまとめると、下記の表のようになります。

  公示価格(基準地価格) 相続税路線価 固定資産税路線価
目  的 土地取引の指標等、公共事業用地の取得、相続税路線価等の目安 課税目的(相続税・贈与税における土地評価) 課税目的(固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税)
価格の基準日 公示価格:1月1日 毎年1月1日 1月1日(3年毎)
基準地価:7月1日
公表時期 公示価格:3月下旬 毎年7月上旬 3月初旬(3年毎)
基準価格:9月下旬
価格水準
公示価格の80% 公示価格の70%



4.土地価格の推定(簡便法)

前述のとおり、公示価格、相続税路線価、固定資産税路線価の間には次のような関係があります。

 (A) 路線価:公示価格の80%
 (B) 固定資産税路線価:公示価格の70%
      

この関係を利用すると、以下のような簡単な計算ができます。

 (イ)土地の実勢価格(目安)を推定したい場合
    ✓ 推定公示価格 → 相続税路線価 ÷ 0.8(路線価×1.25) 
                                 または
                              固定資産税路線価(≒固定資産税評価額) ÷ 0.7

  (例)相続税路線価が24万円/㎡の場合
       → 推定公示価格=24万円/㎡÷0.8=30万円/㎡

 

 (ロ)土地の固定資産税評価額(目安)を推定したい場合
    ✓ 推定固定資産税評価額 → 相続税路線価 ÷0.8 ×0.7  

   (例)路線価が24万円/㎡の場合
       → 推定固定資産税評価額=24万円/㎡÷0.8×0.7=21万円/㎡

      
なお、固定資産税や都市計画税の課税標準額は、固定資産税評価額とは必ずしも一致しません。課税標準額は、軽減措置(小規模住宅用地の軽減等)や負担調整率を考慮して決定されています。



清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年9月27日金曜日

非嫡出子の相続分の違憲決定に伴う相続税の取り扱い(速報)

1.平成25年9月4日の最高裁判所の決定について

民法の規定では、法律上婚姻関係のない両親から生まれた「婚外子」(非嫡出子)の相続については、「法律婚の子(嫡出子)の2分の1」とする旨が規定されています。

民法第900条4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
 
この民法規定を巡る裁判(平成13年7月に死亡した被相続人の遺産に関する裁判)で、最高裁は9月4日、「憲法に違反する」として非嫡出子の相続分に関する規定(非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定)を無効とする判断を下しました。この結果、民法の相続分において、嫡出子と非嫡出子の差はなくなりました。


2.最高裁の決定を受けた相続税の扱い

(1)原則的取扱い

今回の最高裁の決定(違憲決定)を受けて、国税庁から相続税の扱いが公表されました。
今回の決定は、『確定的なものになった法律関係に影響を及ぼすものではない』と判示されていることから、決定の日(9月4日)を境に、違憲決定前(9月4日以前)か決定後(9月5日以後)かによって、取り扱いが分かれることになります。

すなわち、9月4日以前に相続税が確定している場合には、非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定(以下、「嫡出に関する規定」)があるものとして相続税の計算・申告を行い、9月5日以後に相続税額が確定するものについては、「嫡出に関する規定」がないものとして相続税の計算・申告を行うことになります。


(2)例外的取扱い

原則的取扱いでは、9月4日と9月5日で、「嫡出に関する規定」の扱いに差が出ることになります。しかし、たった1日の差で相続税額に差が出るというのも、やや不公平感があります。そこで、9月4日以前に一旦確定した税額が、9月5日以後に変動するような場合には、「嫡出に関する規定」とする規定)がないものとして相続税の計算・申告ができることとされました。最高裁の決定事例が平成13年7月の相続であったため、相続税法でも平成13年7月以後に発生した相続が対象となっています。

例えば、平成25年8月31日に相続税の申告書を提出した場合を考えます。この場合、9月5日以後に新たに財産が見つかったり(申告漏れ)、評価に誤りが判明したため、修正申告書や更正の請求書を提出するとします。あるいは、9月5日以後に税務署による更正や更正決定があったとします。この場合には、一旦決定した税額が9月5日以後に変動するので、嫡出に関する規定がないものとして相続税額が計算されます。

ただし、「嫡出に関する規定」だけを理由とした更正の請求はできません。すなわち、「嫡出に関する規定」以外の理由で、確定した税額が変動することが必要になるわけです。

なお、平成25年9月4日以前の相続について、相続税の計算において「嫡出に関する規定」がないものとして扱われたとしても、『民法上の相続分』の扱いとは別の話であるという点を申し添えます。

上記の相続税上の扱いをまとめると、次の表のとおりになります。




詳細については、国税庁の以下のサイトをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/saikosai_20130904/index.htm




清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年5月12日日曜日

教育資金の贈与

今さら申し上げるまでもないですが、教育には本当にお金がかかります。
ちなみに、幼稚園(3歳)から高校卒業までの15年間にどれ位の費用がかかるかご存知でしょうか?

文部科学省の『平成22年度子どもの学習費調査』によると、幼稚園から高校まですべて公立の場合の学習費総額は約500万円、一方、すべて私立の場合には、約1,700万円という調査結果が出ています。これに大学が加わると、教育費はさらに膨らみます。

ということで、今回は、平成25年度税制改正の中から、『教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』について取り上げます。


1.制度の概要

平成25年度税制改正で、『教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』が新設されました。祖父母や父母(直系尊属といいます。)が教育資金を孫や子へ一括贈与した場合、孫(子)1人当たり1,500万円まで贈与税が非課税とされました。非課税措置では、贈与する人数の制限はありません。例えば祖父母に孫が4人いるとすると、最大で6,000万円まで非課税で贈与することができます。

具体的なイメージは、以下の図表のとおりです。





 2.非課税措置の内容
  
(1)対象期間と対象額
  平成25年4月1日~平成27年12月31日までの間の供出額が対象です。

(2)贈与受ける者(受贈者)の条件
  30歳未満の個人に対する教育資金であることが条件です。

(3)供出(贈与)方法
  教育資金口座の開設等(※1)を行うことが必要です。

※1 「教育資金口座の開設等」とは、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から拠出された資金で受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合をいいます。

(4)非課税限度
  拠出額のうち1,500万円までの部分について、
  教育資金非課税申告書を(金融機関に)提出すると、贈与税が非課税となります。

(5)契約終了
  ①  受贈者が30歳に達したこと
  ② 受贈者が死亡したこと
  ③ 口座等の残高がゼロになり、かつ、教育資金口座契約終了の合意がなされたこと

  により、教育資金口座に係る契約は終了します。

6)贈与税が課される場合
(5)①又は③の理由で契約が終了した場合、非課税拠出額(1,500万円を限度 ※2)から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、500万円を限度 ※3)を控除した残額がある場合、その残額が契約終了日の属する年に贈与があった額とされます。

説明が少しわかりにくいですが、端的には上記の図表の    について贈与税が課されます。すなわち、その年の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるような場合、贈与税の申告期限までに贈与税の申告を行う必要があります。一方、    の部分が存在しなければ、すべて非課税となります。

※2 「非課税拠出額」とは、教育資金非課税申告書(又は追加教育資金非課税申告書)に本制度適用を受けるものとして記載された金額を合計した金額(1,500万円を限度)を意味します。

※3 「教育資金支出額」とは、金融機関等の営業所等において、教育資金として支払われた事実が領収書等により確認され、かつ、記録された金額を合計した金額をいいます。


3.補足説明

(1)教育資金の意味
  教育資金とは以下のようなものを意味します。

  ①  学校等(※4)に対して直接支払われる以下のような金銭
     (ⅰ)入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
     (ⅱ)学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って
        必要な費用など

  ② 学校等以外(※5)対して直接支払われる金銭で社会通念上相当と認められるもの

   ● A.役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの

    (ⅲ) 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など

    (ⅳ) スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)
       その他教養の向上 のための活動に係る指導への対価など

    (ⅴ)(ⅲ)の役務の提供又は(ⅳ)の指導で使用する物品の購入に要する金銭

    ● B.上記A以外(物品の販売店など)に支払われるもの
    (ⅵ) ①-(ⅱ)に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの


※4 「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校、 各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所等などをいいます。

※5 学校等以外に支払う金銭について非課税措置が利用できる限度は500万円となります。

(2)教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払
教育資金口座からの払出しや教育資金の支払を行った場合、その支払に充てた金銭に係る領収書などその支払の事実を証する書類等(原本)を、次の①又は②の出期限までに教育資金口座の開設等をした金融機関等の営業所等に提出する必要があります。

 ① 教育資金を支払った後、実際に支払った金額を教育資金口座から払い出す方法を教育資 金口座の払出方法として選択した場合
  ☛  領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日

 ② ①以外の方法を教育資金口座の払出方法として選択した場合
  ☛  領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年3月15日

上記①又は②の払出方法の選択は、受贈者が教育資金口座の開設等時に行います。


(3)外国の教育施設への支払
  国際化社会が進展する中、①外国の大学や大学院への留学、②両親の海外赴任に伴って外国で教育を受けるケースも考えられます。教育資金の非課税制度は、一定の外国の教育施設についても認められます。なお、渡航費や滞在費あるいは下宿費用は非課税対象になりませんが、学校の寮費など(教育に付随する費用として)学校に支払われたことが明らかなものは非課税対象となるようです。
 ちなみに、外国で受ける教育費用-例えば、欧米の大学以上の高等教育に係る費用-は大変高額です。そこで、この制度を利用して海外留学することも検討できるかもしれません(報道によると、日本の若い人達は、内向き志向と言われているようですので・・・。)

なお、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の詳細については、国税庁のHPに「パンフレット」や「Q&A」がまとめられておりますので、そちらをご覧ください。

また、教育資金口座の開設等の手続きについては、金融機関(銀行、信託銀行、証券会社)にお問い合わせ下さい。


今回は以上です。


清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年5月7日火曜日

事業承継税制の改正について


本日は、平成25年税制改正の中から、『事業承継税制』に関する改正ポイントを説明いたします。

1.事業承継税制とは何か?

事業承継税制とは、端的に言えば、非上場株式(自社株式)に課される税金(贈与税や相続税)の全部または一部を繰延べできる制度(=納税猶予制度)です。自社株式の相続や贈与時の時価は、予想以上に高くなるのが通常です。他方、自社株は流通性がほとんどありませんから、換金できない株式に高額な贈与税や相続税が課されると、事業承継に支障が出る可能性があります。こうした事態に対応して、一定の条件を満たす場合、中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式を承継する際、相続税・贈与税が軽減(相続:80%分、贈与:100%分)される制度が事業承継税制(納税猶予制度)です。


2.制度適用のための一定の条件とは?

事業承継税制は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(円滑化法)」を基礎とした制度です。円滑化法は、① 遺留分に関する民法の特例、② 事業承継時の金融支援措置、③ 事業承継税制の基本的枠組み を盛り込んだ事業承継円滑化に向けた総合的支援策の基礎となる法律ですが、③の事業承継税制が納税猶予制度に該当します。
すなわち、税法が円滑化法を借用して、円滑化法の一定の要件を満たす中小企業について、納税猶予の適用を受けることができるように制度化されているのです。

事業承継税制(納税猶予制度)の適用要件はかなり複雑ですので、ここで詳しく説明することはいたしませんが、ご興味のある方は、下記の中小企業庁のサイトで『最新版(平成25年度)の中小企業経営承継円滑化法申請マニュアル』をご覧ください。

☛ 中小企業庁:中小企業経営承継円滑化法 申請マニュアルについて

円滑化法について一点注意すべきなのは、この法律が「中小企業の雇用の維持・確保」を重視しているという点が挙げられます。すなわち、「中小企業の雇用確保 → 円滑な事業承継 → 贈与税・相続税の負担軽減 → 納税猶予」という流れが根底にあることに留意する必要があります。言い換えると、(後半の)「(経営者の)税負担軽減 → 納税猶予」という目的だけで、設定された法律ではなく、(円滑化法の)納税猶予が認められる「一定の条件」はかなり厳し目に設定されているということになります。

今回の改正では、この厳しい条件の一部が緩和されました。


3.改正点(要件緩和)

平成25年度税制改正で事業承継税制の適用要件が以下の通り緩和されました。

(1)事前確認の廃止:手続の簡素化(平成25年4月以後)
従来、制度利用の前に経済産業大臣の「事前確認」を受ける必要ありましたが、平成25年4月後は、事前確認を受けていなくても制度利用が可能になりました。

(2)親族外承継の対象化~親族以外にも拡大(平成27年1月以後)
現行では、後継者は現経営者の親族に限定されていますが、改正後は親族外承継も対象となります。

(3)雇用の8割維持要件の緩和(平成27年1月以後)
現行では、雇用の8割以上を「5年間毎年」(毎年度末)維持することが要件とされていますが、雇用の8割以上維持要件が「5年間平均」となります。例えば、現行は5年間で1回でも8割要件をクリアできないと納税猶予が打ち切りとなりましたが、改正後は、8割要件をクリアできない年があっても、5年間平均でクリアできればよいことになります。

(4)納税猶予打ち切りリスクの緩和(平成27年1月以後)
現行では、要件が満たせずに納税猶予が打ち切られた場合、納税猶予額に加え利子税(年2.1%)の支払いが必要です。平成27年1月以後は、①利子税率が引下げられる(2.1%→0.9%)とともに、②承継5年超で5年間の利子税が免除されることになりました。

また、事業の再出発にも配慮がなされました。現行は、相続・贈与から5年後以降は、後継者の死亡又は会社倒産により納税が免除されています。改正後は、民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、一部免除されることになります。

(5)役員退任要件の緩和:現経営者の退任要件を緩和(平成27年1月以後)
現行では、(贈与税の納税猶予の適用を受ける際)現経営者は、贈与時に役員を退任すること(いわば、「生前隠居」)が必要です。改正後は、贈与時の役員退任要件が代表者退任要件に緩和され、現経営者は(贈与後も引き続き)有給役員として残留することが可能となります。

(6)債務控除の計算方法の変更(平成27年1月以後)
現行では、猶予税額の計算で現経営者の個人債務や葬式費用を株式から控除するため、猶予税額が少なく算出されます。改正後は、現経営者の個人債務や葬式費用を株式以外の相続財産から控除することに変更されるので、その分、納税猶予額が増えることになります。

今回は以上です。


清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年2月20日水曜日

相続税改正の方向性(税制改正大綱)


今回は、先月下旬に決定された平成25年度の『税制改正大綱』から相続税の改正に関する話題です。

✓ 改正の概要と影響

後述の通り、小規模宅地等に関する軽減措置は拡充されましたが、基礎控除の縮小、財産評価額の高い部分に関する税率アップが行われており、全体としては増税の方向で改正がなされました。特に、税率アップと基礎控除の縮小により、富裕層の方々にとっては相続税負担は増えるものと考えられます。

以前の記事で、課税割合(相続発生した件数のうち実際に相続税が発生する件数)が4%程度であると説明しましたが、今回の改正によって、課税割合が約6%に上昇すると試算されており、課税ベースの拡大が行われています。現行税制では相続税の負担がなかった方達について、今回の税制改正によって、相続税を負担するケースも増加すると考えられます。


以下、改正内容の概要を記載します。

✓ 基礎控除の縮小

基礎控除には、定額控除と法定相続人数に比例する比例控除がありますが、今回の改正で、双方ともに控除が縮小されています。本改正は、平成27 年1月1日以後の相続又は遺贈から適用開始予定です。



✓ 税率の変更(高額部分の税率アップ)

従前の6段階の税率(最高税率50%)から8段階税率(最高税率55%)へ細分化されています。また、課税価格(相続人一人当たり)が2億円以上になる場合は、実質増税になっています。本改正は、平成27 年1月1日以後の相続又は遺贈から適用開始予定です。


✓ 小規模宅地の評価減特例
 
居住用小規模宅地について、面積限度が330㎡(100坪)まで拡充されています。また、二世帯住宅や介護等による一時非居住の扱いについても、適用要件が緩和されています。

面積限度の緩和は、平成27 年1月1日以後の相続又は遺贈から適用予定、一方、二世帯住宅と一時非居住に関する改正は、平成26 年1月1日以後の相続又は遺贈から適用開始予定となっています。













介護等による一時非居住の扱いについては現行、国税庁の質疑応答事例『老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例』において、次のような4条件が指針として示されています。

(1) 介護が必要なため入所したこと。
(2) 帰宅後いつでも生活できるように建物の維持管理がなされていること。
(3) その建物を他人の居住用やその他の用途に供していた事実がないこと。
(4) 入居した老人ホームの所有権や終身利用権が取得されていないこと。

今回は以上です。


清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

2013年2月6日水曜日

相続税の調査統計(国税庁報道発表資料)

昨年11月、国税庁から相続税に関する(税務)調査実績に関する統計資料が公表されました。今回はその内容を簡単にご紹介したいと思います。


✓ 1年間の税務調査の実績

国税庁の平成23事務年度(平成23年7月から平成24年6月までの間)に行われた(相続税)税務調査の件数は13,787件、このうち申告漏れ等の非違件数(修正申告等が必要な件数)は11,159件で、非違割合は80.9%となっています。また、申告漏れ課税価格(総額)は3,993億円、1件当たり2,896万円となっています。これらの実績数値は前年数値とほとんど変わりはありません。

上記のデータから見ると、相続税の税務調査を受けると、約8割のケースで修正申告が発生し、平均で3,000万円位の申告漏れが指摘されていることが読み取れます。


✓ 申告漏れが指摘された3大相続財産 ☛ 現金・預貯金、有価証券、土地  

申告漏れ相続財産の内訳は、①現金・預貯金等1,426億円が最も多く、次に②有価証券631億円、③土地630億円の順番となっています。特に、現金預金の申告漏れが最も多く指摘されていますので、手許現金や預金口座の漏れがないように申告することが重要となります。


✓ 海外財産、無申告事案の調査強化

昨今の資産運用の国際化に対応して、海外資産の調査も重視してきています。年間調査件数は741件ほどですが、1件当たりの申告漏れ額は約6,500万円と全体平均(2,896万円)に比べて多額になっています。

また、自主的に申告した納税者との間の公平性を確保するため、相続税の無申告案件に対する調査にも力を入れています。特に、平成22事務年度から無申告に関する調査件数が急増しています。



  
今回の調査結果から読み取れること、必要な準備など

■ 申告漏れの原因は?

今回の調査結果を見る限り、どのような原因で申告漏れが生じているかは定かではありませんが、以下のような理由により申告漏れとされたケースが多いのではないかと推察されます。

 ● 現金・預貯金 ☛ 単純な失念、名義預金の存在
 
 
 ● 有価証券 ☛ 単純な失念、名義株の存在、非上場株式の評価の誤り
 
 
 ● 土地 ☛ 単純な失念(遠隔地の土地等)、特例等(小規模宅地や広大地など)の適用誤り

財産の申告漏れを極力少なくするためには、申告に際して相続財産について十分な棚卸を行う必要があります。相続直前に預金を引き出している場合、手許現金として申告財産に含めることも必要です。また、名義預金や名義株式については、事前にその有無を確認し、相続発生前までに(可能な限り)整理を行っておくことが必要です。

■ 無申告にならないように注意

前述のとおり、相続税無申告に対する調査も急増していますので、事前にある程度の試算をして、申告が必要か否かを検討しておく必要があります。

2013年1月30日水曜日

相続税の申告の状況(国税庁報道発表資料)

昨年12月、国税庁から平成23年中(平成23年1月1日~平成23年12月31日)の相続税の申告状況が公表されていますので、内容をご紹介いたします。


✓ 被相続人(亡くなった方)の数と課税割合

被相続人数は約125万人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万1千人でした。課税対象となった被相続人の数はここ10年程度で見ると増加傾向にあり、一方、被相続人の数(亡くなられた方)は、平成6年以後一貫して増加傾向にあります。





課税割合(実際に相続税が生じた件数の割合)は4.1%(5.1万人÷125万人)となっており、課税割合は前年より0.1ポイント低下しています。平成6年~12年頃までは課税割合が5%程度でしたが、ここ数年は、4.1%~4.2%の水準で推移しています。大体の目安として、被相続人の4%(100人中4人)程度が相続において、実際に相続税が生じているということになります。




✓ 課税価格と税額

課税価格は10兆7,299億円で、被相続人1人当たり2億872万円となっています。一方、税額は1兆2,520億円、被相続人1人当たり2,435万円となっています。


✓ 相続財産の金額の構成比

相続財産の構成割合は、土地46.0%、現金・預貯金等24.2%、有価証券13.0%の順となっています。土地の割合は依然として大きいですが、相続財産中に土地の占める割合は減少傾向にあり、一方で現金預金の割合は増加傾向にあることが分かります。



今回は以上です。


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