✓ 1年間の税務調査の実績
国税庁の平成23事務年度(平成23年7月から平成24年6月までの間)に行われた(相続税)税務調査の件数は13,787件、このうち申告漏れ等の非違件数(修正申告等が必要な件数)は11,159件で、非違割合は80.9%となっています。また、申告漏れ課税価格(総額)は3,993億円、1件当たり2,896万円となっています。これらの実績数値は前年数値とほとんど変わりはありません。
上記のデータから見ると、相続税の税務調査を受けると、約8割のケースで修正申告が発生し、平均で3,000万円位の申告漏れが指摘されていることが読み取れます。
✓ 申告漏れが指摘された3大相続財産 ☛ 現金・預貯金、有価証券、土地
申告漏れ相続財産の内訳は、①現金・預貯金等1,426億円が最も多く、次に②有価証券631億円、③土地630億円の順番となっています。特に、現金預金の申告漏れが最も多く指摘されていますので、手許現金や預金口座の漏れがないように申告することが重要となります。
✓ 海外財産、無申告事案の調査強化
昨今の資産運用の国際化に対応して、海外資産の調査も重視してきています。年間調査件数は741件ほどですが、1件当たりの申告漏れ額は約6,500万円と全体平均(2,896万円)に比べて多額になっています。
また、自主的に申告した納税者との間の公平性を確保するため、相続税の無申告案件に対する調査にも力を入れています。特に、平成22事務年度から無申告に関する調査件数が急増しています。
■ 申告漏れの原因は?
今回の調査結果を見る限り、どのような原因で申告漏れが生じているかは定かではありませんが、以下のような理由により申告漏れとされたケースが多いのではないかと推察されます。
● 現金・預貯金 ☛ 単純な失念、名義預金の存在
● 有価証券 ☛ 単純な失念、名義株の存在、非上場株式の評価の誤り
● 土地 ☛ 単純な失念(遠隔地の土地等)、特例等(小規模宅地や広大地など)の適用誤り
財産の申告漏れを極力少なくするためには、申告に際して相続財産について十分な棚卸を行う必要があります。相続直前に預金を引き出している場合、手許現金として申告財産に含めることも必要です。また、名義預金や名義株式については、事前にその有無を確認し、相続発生前までに(可能な限り)整理を行っておくことが必要です。
■ 無申告にならないように注意
前述のとおり、相続税無申告に対する調査も急増していますので、事前にある程度の試算をして、申告が必要か否かを検討しておく必要があります。
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