今回は、IFRSの5回目。「情報の制約要因」と「基礎となる前提」です。
★ The
cost constraint on useful financial reporting(
有用な財務情報に関するコスト制約)
簡単に言うと、、財務情報の提供にはコストがかるのでコストが(情報提供の)制約要因になるということです。必要以上に詳細で厳密な情報収集を行って財務諸表を作成すれば、企業の費用負担は膨大なものになります。逆に、必要な情報が提供されなければ、情報の利用者が(自力で情報を探すなど)不利益を被ります。要は、情報の提供者・利用者双方の費用対効果を勘案する必要があるということになります。
★ Underlying
Assumptions(基礎となる前提)
財務諸表の基礎となる前提として従来のFrameworkでは、①Going Concern(継続企業)と②Accrual
Basis(発生主義)が挙げられていました。
実はこの部分は現在改訂途中になっており、現行のFrameworkの本文では①のGoing
Concern(継続企業)だけが暫定的に残っています(Accrual
Basisについては、改訂後のFrameworkの他の場所で説明されています。)これは、進行中の改訂作業で「FrameworkからUnderlying
Assumptions(基礎となる前提)という項目自体をなくしてしまう」という方向が示されたからです。
とは言え、こうした前提自体が無くなってしまうということではありません。実は、IAS(国際会計基準)第1号(Presentation of
Financial
Statements:財務諸表の表示)の方に、発生主義や継続企業を含めていくつかの基礎となる前提が説明されており、恐らく、こちらの方へ集約することになると思われます。
Frameworkの解説ということからすると、(将来なくなる可能性の高い)この項目の説明は不要なのかもしれませんが、一応、従来のFrameworkに則って2つの基礎的な前提を説明します。
(1)Accrual Basis(発生主義)
発生主義とは、会計上の取引は現金の入出金に関わらず、その取引が発生した時点で認識され、会計帳簿に記録されるという考え方です。例えば、商品を購入する契約を締結した場合、現金の支払いがなくても)「仕入」と「買掛金(仕入債務)」を取引として記録するということです。
(2)Going Concern(継続企業)
継続企業の前提とは、企業は清算を予定しておらず、将来にわたって事業活動を継続するという前提です。通常は、継続企業の前提に基づいて財務諸表が作成されますが、仮に近い将来清算又は事業の大幅縮小が想定される場合、継続企業とは異なる前提で財務諸表が作成されることになります。すなわち、継続企業の前提が失われると、企業の継続価値でなく清算価値が焦点となりますので、貸借対照表項目をすべて時価で評価するといったことになります。
今回は以上です。
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