2013年8月16日金曜日

ビジネスモデル

本日は、ビジネスモデル(Business Model)のお話です。



1.「ビジネスモデル」という用語の誕生

ビジネスモデルという言葉が使われ始めたのは1990年代の後半、ちょうど米国のITバブル(「インターネット・バブル」とか「ドットコム・バブル」とも呼ばれていました。)の真っ最中だったように記憶しています。この時期には、いわゆるドットコム(dot.com)企業と言われるインターネット関連のベンチャー企業が続々と設立され、これらの会社がごく短期間のうちに株式上場を果たしました。1999年~2000年頃にかけてドットコム企業の株価は異常なまでに上昇しましたが、2001年にはバブルがはじけました。

日本でも当時「2000年問題」が話題となりましたが、(ちょうど同じ時期である)1999年~2000年頃、IT系企業の新規上場で株式市場が活性化しました。しかし、やはり2001年頃、日本でもバブルがはじけたのです。


2.ビジネスモデルの有効性を評価する2つのテスト

世の中にビジネスモデルについて書かれた本は沢山ありますが、今回ご紹介するのは、「ビジネスモデル」を検証する簡単かつ有効な方法として、Harvard Business Schoolの Joan Magretta 教授が提唱したテストです。

このテストはとてもシンプルで、(1) The Narrative Testと(2) The NumberTestの2つのテストから成ります。

(1) The narrative test

The Narrative Testとは、「モデルの有効性を論理的かつ説得力をもって説明できるか」ということです。すなわち、
 
   ① 顧客は誰か?
   ② 顧客は何に価値を見出しているか?
   ③ 顧客にどのようにして価値を提供できるか?
     という点について説得力をもって語ることができるかということになります。


(2) The numbers test

(1)のテストを通過したビジネスモデルが、(長期的に)収益(キャッシュフロー)を生むかどうかというテストです。言い換えると、ビジネスモデルを損益計算書やキャッシュフロー計算書に落とし込んだ場合、利益や資金を生むモデルになっているのか、ということです。

仮に価値のある製品やサービスを提供できたとしても、コストをカバーできるだけの収入(収益)がなければ、事業としては成り立ちません。


3.終わりに

上記の2つのテストは、別の見方をすると、「定性テスト」と「定量テスト」といえるかもしれません。

(1)定性テスト:顧客が認める価値とその提供方法を論理的に説明できるのか?
(2)定量テスト:数値面から、収益(資金)を生むモデルになっているのか?

上記の2つのテストは、至極当たり前のことです。
しかし、今まで様々なビジネスモデルを見てきた経験では、①顧客が認める価値についての分析が不十分だったり、②モデルの論理性(一貫性)が欠けていたり、あるいは、③事業として成り立つかどうか(コストはどの位かかって、いつまでに、いくら、どうやって稼ぐのか)が曖昧だったりすることが極めて多いことも事実です。

もちろん、完璧なビジネスモデルなど存在しないので、2つのテストで非の打ちどころのないモデルを構築する必要はありません。

重要なのは、2つのテストを行って、①モデルのどこに課題があるのか、②それをどのように改善すべきか、について十分検討することによって、自身のビジネスモデルをより良いものにしていくことです。

参考文献 Joan Magretta, Why Business Models Matter, Harvard Business Review, May 2002



清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office

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