本日は、5匹の猿を使った実験についてお話しします。キーワードは「猿」、「バナナ」、「はしご(踏み台)」、(冷水の)「放水」です。実験は3段階に分かれます。
● 第1段階
5匹の猿がオリに入れられます。オリの上からバナナが吊るされ、ちょうどその真下に(バナナに手が届くように)踏み台が設置されます。
一匹の猿がバナナを目がけて踏み台をよじ登ろうとすると、その猿に冷水が浴びせられます。さらに、残り(4匹)の猿にも同様に冷水が浴びせられます。猿が踏み台を登ろうとすると、その都度、登ろうとした猿と残り(4匹)の猿達に冷水が浴びせられます。
この実験は、踏み台を登ろうとする猿がいなくなるまで、すなわち、「バナナを取ろうとして踏み台に登ろうとすると、(すべての猿に)冷水が浴びせられる」ということを、5匹の猿が学習するまで、続けられます。水を浴びせるのは第1段階で終了します。
● 第2段階
5匹の猿が学習を終えたところで、1匹の猿がオリから出され、別の(新しい)猿がオリに入れられます。オリの中には、「新参者の猿:1匹」と古参の猿:4匹」という状況になります。
新参者の猿は、(予想通り)バナナを見つけると、取ろうとして踏み台をよじ登ります。そうすると、残り4匹の猿が(踏み台を登らせまいと)新参者の猿を目がけて一斉に襲い掛かります。その後も、新参者の猿が踏み台を登ろうとするたび、他の猿が襲い掛かります。そして最後には、新参者の猿は、踏み台をよじ登ろうとしなくなります。「踏み台を登ろうとすると仲間の猿から攻撃される」という教訓を学習したわけです。新参者の猿は、冷水を浴びせられた経験がないにも拘らず・・・。
新参者の猿が学習を終えると、(古参の)2匹目の猿がオリから出され、新しい猿がオリに入れられます。新参者の猿は、踏み台を登ろうとしますが、そのたびに他の4匹の猿から総攻撃にあいます。かくして、「踏み台に登ろうとすると酷い目にあう」ことを学習していきます。このようにして、新参者の猿の学習に合わせて3匹目の猿、4匹目の猿・・・と順次新しい猿と入れ替えられていきます。
● 第3段階
(古参の)5匹目の猿がオリから出され、代わりに新参者の猿が入ってきます。この時点で、オリの中に残っている4匹の猿はいずれも冷水を浴びせられた経験がない猿達となります。
例によって、新参者の猿が踏み台によじ登ろうとすると、残り4匹の猿は新入りに一斉攻撃を仕掛けます。(攻撃を仕掛ける4匹の猿達は)冷水を浴びせられた経験が全くないにもかかわらず・・・。
● 教訓
我々人間社会には、様々な規範や慣行があります。また、会社内にも様々なルールや仕事のやり方があります。こうした規範やルール等は、社会生活を行う上で、あるいは仕事を行う上で必要不可欠なものです。
しかしながら、かつては意味のあった規範やルール、あるいは仕事のやり方であったとしても、時代の流れとともに、今ではその意味がほとんど失われてしまっているものも少なくありません。
例えば、単に『前任者が行っていたから』という理由だけで、(その仕事の意味や目的を深く考えずに)行われている手続きも多々あります。
「5匹の猿の実験」の教訓として、時々フレッシュな視点で、「今の仕事のやり方、その意味(必要性)を再検討してみること」も必要でしょう。
● 備考
今回の5匹の猿の実験はかなり有名で、経営書にもたびたび登場するのですが、出典がよく分かりません。下記の1967年に行われた(猿を使った)実験がヒントになっているようですが、上記の実験に関するデータについては確認できませんでした。
<参考文献>
F. ヴァーミューレン(2013)『ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実』 本木 隆一郎、山形 佳史(訳) 東洋経済新報社
G. ハメル& C.K.プラハラード(1995) 『コア・コンピタンス経営』」 一條和生(訳)
日本経済新聞社
Stephenson, G. R. (1967). Cultural acquisition of a specific learned response among rhesus monkeys. In: Starek, D., Schneider, R., and Kuhn, H. J. (eds.), Progress in Primatology, Stuttgart: Fischer, pp. 279-288.
清水公認会計士事務所(Shimizu CPA Office)
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